・翌月にまとめてお支払い可能
・手数料無料(口座振替の場合)
・アプリでご利用金額を確認できて安心
¥2,000 税込
なら 手数料無料の 翌月払いでOK
クラリネット五重奏 5声のキリエ(種々のカノン付き)KV 89
W.A.モーツァルト
Kyrie a cinque con diversi canoni (KV 89/73k)
W.A.Mozart
編成はCl.4本、Bs,Cl.です。
サックス五重奏、木管五重奏、金管五重奏版は発売中です。
モーツァルト10歳の若々しく野心に溢れた作品をお楽しみください。
お求めの際はこちらからお願いします。
アトリエ・アニマート・ショップ
https://animato.official.ec/
参考音源
https://youtu.be/mQA47E6t_1A
Youtubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCbc_7CUTWTYOuyu_WQcflxQ
アトリエ・アニマート楽譜ページ1/3
https://animato-jp.net/rec-band/gakufu.html
■ 概要
曲名:Kyrie a cinque con diversi canoni(5声のキリエ、種々のカノンを付き)
作曲者:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
作品番号:KV 89(旧番号では73k)
作曲年:推定 1766年
編成:5声部(SSATB)、オルガン伴奏(当時は通奏低音として演奏されることが多い)
■ 背景
この作品は、モーツァルトが10歳のときに作曲したとされています。1766年、モーツァルト一家はヨーロッパ演奏旅行の最中で、当時モーツァルトはオランダに滞在していました。
この作品は、少年時代における「対位法」の学習の一環として書かれたと考えられています。モーツァルトは父レオポルトの厳格な教育の下で、フーガやカノンといった対位法技法を積極的に学んでおり、その成果が如実に表れている作品の一つです。
■ 特徴
■ 5声の編成
通常のキリエ(ミサ曲の第1曲目)は4声(SATB)が多いですが、この曲は5声(SSATB)と豊かな編成です。少年モーツァルトが既に多声的テクスチュアを扱えることを示しています。
■ カノン技法の使用
この作品の大きな特徴は、複数のカノン(模倣技法) が全体に散りばめられていることです。「diversi canoni」という表記もそれを示しています。カノンは一種の模倣形式で、テーマを次々とずらして重ねる高度な書法です。
■ 宗教的な荘重さ
キリエは「主よ、憐れみたまえ」という祈りを歌う部分で、通常は荘厳で内省的な雰囲気を持ちます。この作品でも、少年ながらに荘重な雰囲気を出すためにポリフォニックな(多声的)書法を駆使しています。
■ 演奏・録音
この曲はモーツァルトの初期作品の中ではあまり演奏される機会が多くありませんが、彼の対位法学習の重要な証拠として、特にモーツァルト研究者や宗教音楽に関心のある演奏家には注目されています。
録音では古楽系の団体や、モーツァルトの宗教曲全集に含まれることが多いです。
■ 音楽的意義
学習曲としての側面:この作品は、後年の《レクイエム》や《アヴェ・ヴェルム・コルプス》といった宗教曲に至るモーツァルトの道のりを示す初期の重要なステップです。
少年期の才能の証明:わずか10歳でこのような高度なカノン技法を使いこなしていることは、天才モーツァルトの非凡さを示しています。
■ まとめ
1.《Kyrie a cinque con diversi canoni KV 89》は、10歳のモーツァルトが対位法の学習として書いた5声の荘厳なキリエ。
2.多彩なカノンを駆使し、少年期の技術力の高さを示す貴重な宗教曲。
3.一般にはあまり知られていないが、研究者や宗教音楽の愛好家にとっては重要な作品。
●構造分析、声部の動き、カノン技法
■ 概要と構造
◉ 形式
単一楽章の Kyrie(「Kyrie eleison」のみ)
ポリフォニック(多声音楽)的書法が中心
大きく見ると 三部的な構造(ただし伝統的なABA形式というより、音楽的発展に基づく自然な推移)
■ カノン技法の概要
この曲の最大の特徴は「diversi canoni」と題されている通り、様々な種類のカノンが用いられている点です。
◉ 基本主題
「Kyrie」 のテキストに対して、短いモティーフ(主題)が提示されます。
この主題を異なる声部で時間差をつけて模倣することで、カノンが形成されます。
■ カノンの種類
直接カノン(単純カノン)
ある声部が提示した旋律を、そのまま別の声部が追いかける。
反行カノン(inversus)
元の旋律を上下逆にして模倣する。
拡大/縮小カノン(augmentation/diminution)
主題を音価(リズム)を伸ばして(拡大)、または縮めて模倣する。
この曲では、少年モーツァルトはこれらの技法をすべて極端に複雑には用いず、比較的単純な直接模倣が主です。しかし一部に反行的ニュアンスやリズムのずれが含まれ、学習の成果を示しています。
■ 声部構造(SSATB)
■ ソプラノI & II
主に主題の提示と模倣を担います。
他の声部をリードする役割が多い。
高音域で明るく、旋律線の輪郭を示す。
■ アルト
内声として、主題模倣と同時に和声補完の役割。
一部ではソプラノの模倣パートを引き受ける。
■ テノール
中低音域でカノンを支えつつ、対旋律を提示することもある。
テキストの明瞭さとリズム感の確保に寄与。
■ バス
基礎となる低音線を形成。
模倣パートの最終的な到達点として重要。
■ 具体的な楽譜上の例
以下、楽譜をお持ちの場合に該当ページを追いやすいよう解説します。(IMSLPなどで楽譜が無料公開されています)
◉ 冒頭(Kyrie主題提示)
最初にソプラノIが主題を提示
続いてソプラノIIが同じ主題を少し遅れて模倣(カノン)
さらにアルト、テノール、バスが順次加わる
これは 単純カノン(stretto風の密接カノン) に近い
◉ 中盤(複合模倣部)
主題が断片化され、短いモティーフのみを繰り返す
声部間のエントリーがより自由に
部分的にテノールとバスが二重カノンのように動く箇所が見られる
◉ 終盤(和声的充実)
全声部がほぼ同時に「eleison」テキストを強調
対位法的処理は維持しつつ、より垂直的(和声的)に展開
最後は荘重な終止(完全終止)
■ 音楽的効果
テキスト表現:
「Kyrie(主よ)」の祈りの繰り返しは、カノンにより輪唱的効果が強まり、祈りが広がるような印象を与えます。
空間性:
5声のポリフォニーは大聖堂のような残響効果を想起させ、少年モーツァルトの教会音楽的感覚が表れています。
技術力:
各声部の独立性と有機的な絡み合いは、当時の学習曲とは思えない完成度を示します。
■ モーツァルトの学習過程との関連
父レオポルトや当時の師(ヨハン・ヴァン・アインデン、パドレ・マルティーニなど)の指導により、対位法技法を徹底的に訓練していた。
KV89 はその成果を宗教曲に応用した実例と考えられています。
この経験が後の《ジュピター交響曲》第4楽章や《レクイエム》のフーガ部など、後年の対位法処理に直接繋がります。
■ まとめ(ポイント)
1.構造:単一楽章で、冒頭から最後までカノン技法が支配的
2.声部:5声(SSATB)が各々主題模倣を展開
3.カノン技法:主に単純カノンを基軸に、一部反行・変形的要素あり
4.音響効果:宗教的荘厳さと対位法的密度が同居
5.学習曲的価値:モーツァルトの対位法学習の成果として重要
アトリエ・アニマート
https://animato-jp.net/
お支払い方法について
¥2,000 税込