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クラリネット五重奏 「たとえアマリリスが緑の中で踊ろうとも」楽譜

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クラリネット五重奏 「たとえアマリリスが緑の中で踊ろうとも」
『詩篇・ソネット・歌曲集』から
ウィリアム・バード
《Though Amaryllis dance in green》
(『Psalmes, Sonets, & Songs』1588年 第12曲)

編成はクラリネット4本、バスクラリネットです。
木管五重奏、サックス五重奏、金管五重奏版は発売中です。

ヴァージナル楽派の名曲をコンサート・ピースに、ぜひどうぞ。
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アトリエ・アニマート・ショップ
https://animato.official.ec/

参考音源
https://youtu.be/4NKmnXzVtU4

Youtubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCbc_7CUTWTYOuyu_WQcflxQ

アトリエ・アニマート楽譜ページ1/3
https://animato-jp.net/rec-band/gakufu.html

1. 作曲者と作品集の位置づけ
ウィリアム・バード(William Byrd, c.1540–1623)は、
ルネサンス後期イングランド最大の作曲家であり、
教会音楽(カトリック・アングリカン双方)
鍵盤音楽
世俗歌曲(English Madrigal / Consort Song)
のすべてで頂点を極めた人物です。

本作は、《Psalmes, Sonets, & Songs of Sadnes and Pietie》(1588)
に収められた世俗歌曲のひとつで、
バードの英語歌曲作曲家としての円熟を示す重要作です。

2. 曲種:イングリッシュ・マドリガル(コンソート・ソング)
《Though Amaryllis dance in green》は、
5声(SATTB)
全声部が対等に動く
リュート伴奏を前提としない純声楽書法という点から、イングランド型マドリガル、
あるいは無伴奏コンソート・ソングに分類されます。

イタリア・マドリガルの影響を受けつつも、
より明確なテキスト処理
和声の明瞭さ
英語の韻律への適応が特徴です。

3. 詩の内容と主題
詩は田園的(パストラル)な恋愛詩で、
美しく踊り歌う乙女たち(Amaryllis, Corinna)
それを見つめ、報われぬ恋に苦しむ語り手

最終的な諦観
「Hey ho, ’chill love no more(ああ、もう恋などしない)」
という構図で進みます。

明るい自然描写と、
内面的な痛みの対比が核心です。

4. 音楽的特徴
① 明朗な外観と内省的内容の対比
冒頭では、軽快なリズム
明るい旋律線
舞曲的な推進力が用いられ、
「dance in green」「sing full clear」
といった言葉を音楽的に可視化します。
しかし歌詞が進むにつれ、
半音的進行
和声の陰影
フレーズの沈降が増え、
心の痛みが滲み出てきます。

② テキスト・ペインティング
バードの真骨頂である言葉の描写が随所に見られます。
sighs / tears
→ 下行音形・停滞
laughs / sing
→ 上行・軽快な動き
heart so sore
→ 不安定な和声、緊張感

音楽が詩を「説明」するのではなく、
感情を直接体験させる書法です。

③ リフレイン「Hey ho, ’chill love no more」
このフレーズは、各節の締めとして繰り返され
単なる陽気な掛け声ではなく
諦めと自嘲を含んだ決まり文句として機能します。

音楽的にも、動きが簡素化
和声が安定することで、
感情の固定化・諦観を示します。

5. 構成
この曲は、複数の詩節(strophic)
音楽は基本的に同一歌詞の意味変化を音楽表現で補完する構造です。
※楽譜上、第2・第5節の歌詞配置は後世の編集による補完であり、
原版では第1節のみが記されています。

6. 演奏上のポイント
● 明るさを「作りすぎない」
冒頭は軽やかだが、浮かれすぎない
すでに影を含んだ音色を意識

● 英語の語感を重視
子音の明瞭さ
Hey ho の自然な間
→ 英語マドリガルの生命線。

● 和声の変化を共有
痛みが生じる箇所を全員で認識
個人表現より合唱的統一感

7. 音楽史的意義
この作品は、
イタリア・マドリガル様式の受容

英語詩への高度な適応
世俗歌曲における心理描写の深化を示すもので、
エリザベス朝イングランド声楽音楽の到達点の一つです。

まとめ
《Though Amaryllis dance in green》は、
表面的には明るく牧歌的
内面は深く傷ついた恋心
言葉と音楽が高度に融合した
バード屈指の英語世俗歌曲です。

管楽アンサンブルで演奏することで、
テキスト解釈
ルネサンス和声感
英語マドリガル様式
を総合的に学べる、極めて価値の高い作品です。

William Byrd《Though Amaryllis dance in green》(1588)の
原詩(英語)と、内容重視の日本語意訳を併記します。
※逐語訳ではなく、詩と音楽のニュアンスを伝える意訳です。

Though Amaryllis dance in green
William Byrd – Psalmes, Sonets, & Songs (1588), No.12

【第1節】
(English)
Though Amaryllis dance in green,
Like fairy queen,
And sing full clear,
Corinna can with smiling cheer,
Yet since I well perceive,
They are not pleased with me,
Hey ho, ’chill love no more.

(日本語意訳)
たとえアマリリスが
妖精の女王のように緑の野で踊り、
澄んだ声で歌い、
コリンナが微笑みながら楽しげにふるまっても、
私ははっきりとわかっている――
彼女たちの心は、私には向いていない。
ああ、もう恋などしない。

【第2節】
(English)
My sheep feed not, my lambs not play,
I faint away,
My sorrow springs;
From my heart rise sighs and tears,
And deadly pangs,
Yet all in vain:
Hey ho, ’chill love no more.

(日本語意訳)
羊は草を食まず、
子羊は戯れもせず、
私は力尽き、
悲しみは泉のようにあふれ出る。
胸からはため息と涙、
そして耐えがたい苦しみがこみ上げる。
それでもすべては無駄なのだ。
ああ、もう恋などしない。

【第3節】
(English)
Love laid his sleep and passed away,
He is at play,
And will not hear;
And thus my hope is turned to fear,
My joy to pain,
My life to death:
Hey ho, ’chill love no more.

(日本語意訳)
恋は眠りにつき、
どこかへ去ってしまった。
今は戯れているのだろう、
私の声など聞こうともしない。
希望は恐れに変わり、
喜びは苦しみに、
生は死へと変わった。
ああ、もう恋などしない。

詩全体のポイント(簡潔に)
明るい田園描写(踊り・歌・自然)
報われぬ恋の内面(孤独・諦念)
繰り返される
“Hey ho, ’chill love no more”
は、陽気な言葉を借りた深い諦観

バードは音楽で
明るさ → 陰り
動き → 停滞
を精密に描写しています。

演奏にあたってのアドバイス
この歌詞は「楽しげな表情の裏にある、静かな断念」
を理解して演奏することで、音楽が一段深まります。

アトリエ・アニマート
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