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クラリネット五重奏 擲弾兵行進曲 WoO 29 楽譜

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クラリネット五重奏 擲弾兵行進曲 WoO 29
L.V.ベートーヴェン
Grenadiermarsch WoO 29
Ludwig van Beethoven

編成はCl.4本、Bs,Cl.です。
金管五重奏、サックス五重奏、木管五重奏版は発売中です。

ベートーヴェンの勇壮なマーチをお楽しみください。
お求めの際はこちらからお願いします。

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参考音源
https://youtu.be/GSU18AboEWc

Youtubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCbc_7CUTWTYOuyu_WQcflxQ

アトリエ・アニマート楽譜ページ1/3
https://animato-jp.net/rec-band/gakufu.html

1. 基本情報
項目 内容
作曲者 ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
作品 Marsch(行進曲)
作品番号 WoO 29
調 変ロ長調(B♭ major)
編成 クラリネット2、ホルン2、ファゴット2
種類 木管六重奏による行進曲
通称 Grenadiermarsch(擲弾兵行進曲)
作曲年代 1797年末~1798年初頭とする説が有力
初版 1888年、ベートーヴェン没後
別版 ピアノ版(Hess 87)
Henleの校訂版では、スケッチと使用された紙の研究から、1797年末~1798年初頭の作曲と判断されています。
なお、資料によって「1807年」と記載されているものもありますが、これは作品の伝来・資料整理上の年代と混同されることがあります。現在かなり信頼できる研究上の見方としては、1797~98年ごろと考えるのが適切です。

2. どんな曲なのか?
一言でいうと、
ベートーヴェン初期の、非常にコンパクトな軍楽風の行進曲
です。

通常の「ベートーヴェンらしい」交響曲のような大規模作品ではありません。
むしろ、
短い主題 → 反復 → 行進的な展開 → 終止
という、非常に明快な構造を持っています。
Henleの校訂者Egon Vossは、この曲について、あまりの短さから「作品と呼ぶことさえ難しいほど」と説明しています。実際、WoO 29は非常に小規模な作品です。

3. 「WoO」って何?
ここは重要です。
WoO = Werke ohne Opuszahl
つまり、
「作品番号(Op.)のない作品」
という意味です。
ベートーヴェンには、
Op. 21 → 交響曲第1番
Op. 67 → 交響曲第5番
Op. 125 → 交響曲第9番
のように「Op.」が付く作品があります。
一方、WoO 29は、
WoO 29
という整理番号で呼ばれます。
したがって、
「Marsch WoO 29」=ベートーヴェンの作品番号なし作品第29番
ということです。

4. 面白いのは、この編成です
この曲のオリジナル編成は、
Clarinet 1
Clarinet 2
Horn 1
Horn 2
Bassoon 1
Bassoon 2
です。
つまり、
木管+ホルンの六重奏
です。
Mutopiaの楽譜も、この編成を
2 Clarinets, 2 Horns and 2 Fagotti
としています。
これはベートーヴェンにとっても興味深い編成で、後の六重奏曲 Op.71とまったく同じ基本編成です。
Henleも、WoO 29について「2クラリネット、2ホルン、2ファゴット」という編成を明記しています。

5. 実は「行進曲」なのに謎が多い
ここがこの曲の面白いところです。
現在残っている楽譜には、
テンポ、強弱、アーティキュレーションなどの演奏指示がほとんどありません。
なぜでしょう?
Henleの研究によれば、これは単なる「書き忘れ」とは考えにくいのです。
ベートーヴェンの自筆譜には、
「Dに移調、中央にトリオ、砲撃」
という趣旨のメモがあります。
つまり、
B♭ majorで書かれた現在の版
とは別に、
D majorに移調

Trioを中央に追加

途中で「大砲の音」


野外で演奏
という、もっと大きなイベント用の形が想定されていた可能性があります。
これは非常に面白いですね。

6. 「Grenadiermarsch」という名前

この曲には、

Grenadiermarsch
という通称があります。
日本語なら、
「擲弾兵行進曲」
くらいになります。
ただし、注意したいのは、
ベートーヴェン自身が正式タイトルとして「Grenadiermarsch」と名付けたわけではない
という点です。
伝来した資料には、
「Granadirs Marsch arrangirt von Herrn Ludwig v. Beethoven」
という古い書き込みが残っています。
つまり、
「グレナディア兵の行進曲、ルートヴィヒ・フォン・ベートーヴェン編曲」
という趣旨です。
そのため、現在「Grenadiermarsch」と呼ばれることがあります。

7. さらに面白い「ハイドン」との関係
ここはかなり重要です。
ベートーヴェンのWoO 29は、後に**機械式オルガン(Flötenuhr)**用に編曲された資料が残っています。
そして、そのFlötenuhr版では、
ハイドンの行進曲

ベートーヴェンによるつなぎ

WoO 29
という形になっています。
つまりWoO 29は、単独の行進曲としてだけでなく、
当時の宮廷・軍楽・自動演奏装置などの音楽文化
ともつながっているのです。

8. では「軍隊のために作曲した」の?
ここは断定できません。
作曲目的そのものは分かっていません。
Henleも「目的は不明」としています。
ただし、
行進曲
グレナディアという伝承名
D majorへの移調
Trioの追加
「砲撃」というメモ
野外演奏を思わせる内容
から、
公式行事や屋外の祝典などで演奏することを想定した可能性
はかなり興味深いところです。

9. 吹奏楽的に聴くと面白いポイント
この曲は、吹奏楽をされる方ならかなり勉強になります。

① クラリネット
主旋律を担う場面では、非常に明瞭な音色が必要です。
ベートーヴェン初期の木管書法なので、
「メロディーを誰が担当しているか」
を追うと面白いです。

② ホルン
ホルンは単純な伴奏ではありません。
行進曲としての、
軍楽的な「響き」
を作る重要な存在です。

③ ファゴット
低音を支えながら、木管アンサンブル全体をまとめます。
特に、
クラリネット+ファゴット
の組み合わせを聴くと、現代の吹奏楽とは違う古典派の音色設計がよく分かります。

10. 「吹奏楽」として演奏するときの注意
現代の吹奏楽版として演奏するなら、
単純に「元気よく軍隊行進曲!」
とやってしまうと、少し違う方向に行くと思います。
むしろ、
古典派の室内楽としての透明感
を大切にすると、この曲の魅力が出ます。

特に、
① 音量よりアーティキュレーション
② 重くしすぎない
③ ホルンを鳴らしすぎない
④ ファゴットの低音を明瞭に
⑤ クラリネットの旋律を軽快に
という方向が合います。

11. 実は「Op.71」と一緒に聴くと面白い
WoO 29を理解するうえで非常におすすめなのが、
ベートーヴェン:六重奏曲 変ホ長調 Op.71
です。

こちらも、
2クラリネット+2ホルン+2ファゴット
という同じ編成です。
HenleはWoO 29を、Op.71に付随する形で出版しています。
つまり、
WoO 29 → 小さな行進曲
Op.71 → 本格的な木管六重奏曲
として比較すると、ベートーヴェンが同じ6本の楽器をどう扱ったかがよく分かります。

12. まとめ
Marsch WoO 29は、
ベートーヴェンが1797~98年ごろに書いたと考えられる、2クラリネット・2ホルン・2ファゴットのための短い変ロ長調の行進曲
です。

そして面白いのは、単なる「小さな行進曲」ではなく、
「なぜ作ったのか分からない」

「D majorに移調する予定だった」

「Trioを追加する予定だった」

「途中に砲撃を入れる?」

「屋外の公式行事だった可能性」

という謎が残っていることです。
さらに、後世にはGrenadiermarschと呼ばれ、Flötenuhr用編曲やハイドンの行進曲との組み合わせまで残っています。

アトリエ・アニマート
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